■カカオの国際市場について
1. はじめに
1.1 国際カカオ市場
2002年から2003年の収穫期に296万トンのカカオの実が取引された。カカオは、石油、コーヒーに次ぐ世界で3番目に大きい市場である。中央アメリカが原産地である貴重なカカオの実は、主に西アフリカで世界市場の約7割を生産している。アフリカでは1100万人の小規模農民がカカオの実を栽培している。カカオの市場価格は、ロンドンとニューヨークの商品取引所で値段が決まる。2001年4月には、カカオの市場価格は、4半世紀以来最低の値をつける。トン当たり1084ドルという生産コストを賄うことができない市場価格となりカカオの栽培国であるコートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、カメルーンでは、カカオ相場を反転させるために25万トンの在庫破棄を行うという脅しに出た。2002年中盤よりカカオ相場は、コートジボワールのさらなる在庫破棄にでるという動きに反応して一転して上昇し始めた。相場の上昇は目覚しいものであり2003年4月には、一次産品報告書において「市場占有率40%のコートジボワールの不確定要素からカカオの相場は、2月3日には20年来の最高価格であるトン当たり2431ドルに達した。」現在、カカオの相場価格は、トン当たり1479〜1417ドルをさまよっている。
極度に変動する市場は、規制やルールもなく需要と供給のみがひたすら支配する情け容赦ないゲームとなってしまった。カカオの生産者から消費者に至るまでの長い過程の中で、相場投機者、加工業者同様にチョコレートの製造者や販売者のみが利益の大半を得ている。アグリビジネス産業に従事する巨大企業に生産者は、ねじ伏せられ、なすすべも無い。
1.2 マックス・ハベラーの役割
社会的経済的な条件を満たすフェアトレードの国際基準に合致する農民組合に対してマックス・ハベラーのラベルが与えられる。生産者とプランテーションで働く労働者に安心できる商業的条件を提示することが、まず重要であり、少なくとも生産コストを上回る価格での取引を行い、これにより生産活動によって確かな生活が保証され、労働条件の改善、職業訓練、社会活動や環境保全運動といった持続的発展に資する行動を起こすことが可能となる。公平なる取引でなされたコストは、スイスでの最終小売価格に反映される。この一連の商品の流れで最終段階に位置する消費者こそがフェアトレードを支えることになる。
1.3 マックス・ハベラーについて
マックス・ハベラー財団(スイス)は、発展途上国で生産され、社会や環境の規範を遵守して栽培され、公正なる方法で商品化された製品についてラベルを供与する。
スイスでは、小売業者といくつかの焙煎業者がマックスハベラーのラベルがついた製品を販売している。財団は、1992年に創設され、Pain pour le Prochain, EPER,
Action de Careme, Caritas, Helvetas , Swissaid の6つの大きな慈善団体の協力により立ち上げられた。
財団代表の監督の元に財団本部では、さまざまなサービスが、企画運営されている。
これに運営と財政が加わる。財団の委員会は、創設者である非政府組織の代表者により構成されている。委員会は、大まかな活動の方向性を示唆し、事業の概略と財団の戦略を承認する。財団本部はバーゼルにあり、フランス語圏の事務所はローザンヌ地方にある。
1.4 マックス・ハベラー・ラベル登場
1989年にコーヒーの国際協定は破棄されたのを受け、オランダの非政府組織は、オランダ市場においてマックス・ハベラー・ラベルを立ち上げた。オランダに続いてベルギー、ルクセンブルグ、スイスなどが活動をはじめ、他の団体は、別の名前で活動している。(トランスフェアー、フェアトレード財団など)
1992年の2月、マックス・ハベラー財団スイスは、Pain pour le Prochain, EPER, Action de Careme, Caritas, Helvetas ,
Swissaidにより設立された。スイスのコーヒー市場もすぐにこのフェアトレードのアイデアを受け入れ、また、消費者の明らかな需要を予感してマックス・ハベラー・ラベルのコーヒーが、財団設立後すぐに登場した。この試みは成功し、フェアトレード・コーヒーは、1300トン以上販売され、コーヒーの小売市場の5%近く、スイスにおける市場占有率3%を記録した。
10年後、このフェアトレード市場は、先進国や発展途上国においても内容が充実し、また発展した。多くの生産者が統合され、多くの製品が市場参入し、フェアトレードの仕組みが構築された。
- 1997年には17の各国推進団体が、フェアトレード・ラベリング組織インターナショナル(FLO)を先進国において結成した。この国際的ネットワークは、フェアトレードの国際的基準を統一させ(ラベル・システム)、組織的管理を行い、FLOの役割としてフェアトレードの最終権限を確立する目的で結成され、本拠地はドイツのボンに置かれた。FLOの財政は、部分的に各国推進団体の分担金により賄われている。2003年には、マックス・ハベラー財団スイスの代表であるPaola Ghillani氏が、3年連続してFLOの代表に任命された。
- 何百もの発展途上国の組織や協同組合が、FLOの認定生産者に登録された。
- 2002年には、「フェアトレード認定」製品のFLOが関与する17カ国において売上高は、2億5000万ドル以上に達した。そしてスイス市場においては、1億スイスフラン以上に達した。
- 2002年にはスイス市場にマックス・ハベラー印の製品の品目が9つになった。コーヒー、ハチミツ、カカオ、チョコレート、砂糖、紅茶、フルーツジュース(オレンジ、グレープフルーツ)、花、米の9つである。
1.5 カカオとチョコレート:発展的パートナーシップ
フェアトレード基準により商品化されたカカオは、おもにチョコレートの製造に用いられる。スイスでは25種類以上の板チョコがあり、その認定されている板チョコの大部分が有機栽培のカカオを原料としており、カカオペースト、棒チョコ、チョコレートパウダー、カカオパウダーといった商品がある。マックス・ハベラー・チョコレートの初年度の出だしは、まずまずであり少しずつフェアトレード認定チョコレート市場は、拡大し、また多様化している。新たな製造業者が名乗りを上げ、マックス・ハベラーのライセンスを習得した。生協やMigrosといった流通チェーン店では、扱う商品を従来のチョコレートから有機栽培チョコレートに移行し、発展途上国にある2つのフェアトレードの生産者組合だけでは、スイス市場への供給が追いつかなくなってきた。これらの2つの生産者組合もまたこうした新たなスイス市場に商品を供給できるように生産の大部分を有機栽培に切り替えることが必要となってきた。こうした状況はスイスだけであり、これらの生産者組合は、FLOのフェアトレード認定市場にカカオを提供し続けている。スイスに流通しているフェアトレード・カカオは、ドミニカ共和国のConacado組合とボリビアのEl Ceibo組合から供給されている。マックス・ハベラーのライセンスを持つ8つの企業は、スイスのフェアトレード市場においてチョコレートやカカオを原料とした製品を商品化している。
2. フェアトレード・カカオの長い道のり
2.1 当事者
コーヒーの場合と同様、マックス・ハベラーに承認されたフェアトレード・カカオの貿易には4人の当事者がいる。
- 発展途上国の協同組合、プランテーション、生産者組合
- 先進国の輸入業者、焙煎業者、流通業者(www.maxhavelaar.ch 参照)
- 発展途上国と先進国の間で商業パートナー確立を仲介するマックス・ハベラー財団
- 消費者
フェアトレード基準を遵守、特にフェアトレードの報奨金の使途や社会や環境に対して配慮する代償として生産者は、公正なる価格での取引を保証される。地方の中間搾取業者は、排除される。先進国のパートナーもまた、契約に基づいて、値段、購買形態、生産者への直接支払い、長期契約、取引の透明性といったフェアトレード基準の遵守が要求される。
フェアトレードの当事者の役割は、明確に規定されている。:一方には発展途上国の生産者がいて、他方には、先進国においてマックス・ハベラーのライセンス取得者である輸入業者とチョコレート工場がある。これらの両者の間に、すなわち生産者と消費者の間に橋を架ける役割を担うのがフェアトレードのマックス・ハベラー・ラベルであり、マックス・ハベラーは、ラベル認定された製品の貿易に直接関与するのではなく、フェアトレードの条件を提案し、発展途上国の生産者と先進国の当事者との間に商業的契約を締結させ、FLOと共に生産者の生産管理業務にあたる。
こうした一連の流れにおいてスイスでは、消費者の地位が不可欠である。:フェアトレードにより余分にかかる費用は、認定された製品の販売価格に転嫁され、従来の貿易を経た商品よりもほんの少し高くつく。消費者は発展途上国の生産者を全面的に支持することになる。
2.2 カカオのフェアトレード基準
公正なるシステム全体は、基準と管理という2つの主な柱に基づいている。FLOのフェアトレード国際基準とは、FLOの規範であり、継続的発展に資する3つの根源的概念に基づいている。
- 社会的に農業従事生産者や労働者の自立を促進し、彼らの生活条件改善に努める。
- 生態的に環境の保全を考慮に入れること。
- 経済的に現在進行中のシステムは、政府の補助金なして運営でき、生産者から消費者まで市場参加者全員に利潤をもたらすものでなければならない。
発展途上国におけるカカオの基準
生産者組合が、FLOのカカオの生産者認定を受けるためには次のような条件が必要である。
- 農業パートナーを形成する生産者組合と組織は、自主独立した形式で、その運営は民主的になされなければならない。(例えば代表者の選出など)その組織運営については透明性が要求される。(経理や商品流通に関する情報)
- もし協同組合組織が賃金労働者を雇用する場合、国際労働組織(OIT/ILO)が従来定めていたよりもよい労働条件を提示しなければならない。
- 「フェアトレード」の報奨金は、購入代金に含まれており、この報奨金は、労働基準改善に資する活動に投資されなければならない。この報奨金の使途については、会合において民主的な方法で決定されなければならず、小規模農民は、常に発言権を有する。
- 商業的関係は、安定的継続的方法で確立されなければならない。
- 協同組合は、中間業者を介することなく直接輸出しなければならない。
- 協同組合は、高品質の製品をフェアトレード市場に定期的に供給し、環境保全を考慮した生産に従事しなければならない。協同組合は、有機栽培によって認定されるカカオを継続的に生産できる体制を持たなければならない。
- 協同組合は、単一作物栽培を避け、作物の多様化を推進し、特に食の自給率向上を目指して食糧農産物を多様化すること。
- 協同組合は、これらの条件を満たすものを新たなメンバーとして迎え入れなければならない。
先進国のカカオの基準
マックス・ハベラーのライセンスの恩恵に与る焙煎業者、流通業者、輸入業者にとっての必要な条件は次のようである。
- カカオは、フェアトレード基準により認定された協同組合からの製品としなければならない。
- 安定的で継続的な商業関係を構築しなければならない。
- 中間業者を排除し、マックス・ハベラーのパートナーのもとで直接購入しなければならない。
- フェアトレードの報奨金を含むフェアトレード価格で生産者に直接支払わなければならない。
- いくつかの条件の下で部分的前払いに合意することもある。
- 「有機栽培製品」には、有機栽培認定カカオとして報奨金を支払わなければならない。
- マックス・ハベラー・ラベル製品の購入、販売、在庫状況について情報開示しなければならない。
2.3 フェアトレード価格
2003年初頭、カカオの国際価格は、船渡し価格(FOB)トン当たり1479〜1417ドルあたりを推移していたが、2003年9月には1700〜1800ドルになっている。
フェアトレードの一般的なカカオの実の最低価格は、FOBトン当たり1750ドルである。もし国際価格が1600ドルを突破した場合には、フェアトレード価格は、以下のように設定される。
国際市場価格+フェアトレード報奨金=フェアトレード価格、例えば、2003年9月には、1750ドル+150(報奨金)=1900ドルとなっている。
有機栽培カカオの実の最低価格はFOB1950ドルであり、この価格には200ドルのフェアトレード報奨金が含まれている。
国際価格が1600ドルを超過した場合、200ドルの「有機栽培フェアトレード」報奨金が上乗せされる。
2.4 販売価格
マックス・ハベラー財団は、販売価格には干渉しない。生産者へ支払うフェアトレード価格分の費用やライセンス取得にかかる費用は、最終価格に反映され、販売者の利益も考慮して販売者であるライセンス取得者が最終的に販売価格を決定する。ここでもう一度強調すべきは、消費者の役割である。一般的にスイスでのフェアトレード・板チョコレートの価格は1.8スイスフランであり、ClaroSAの店舗や健康食品の店舗で販売されている有機栽培のカカオによる高級チョコレートは4.5スイスフランとなっており、フランス語圏スイスのワールドショップやイタリア語圏スイスのLes Botteghe del mondoでも同様である。
2.5 監査
先進国においても発展途上国においても年に一回立ち入り監査が行われる。監査に訪れることによって、パートナーとの直接的な関係を構築し、発展させ、情報をお互いに開示し、発展途上国と先進国の持続的な商業関係を構築することとなる。
発展途上国における監査項目
- 商品の流通と資金の流れ
- 財政状況、会計
- 生産状態、特に環境への配慮について
- フェアトレード報奨金の使途、協同組合メンバーの関与
- 一般的フェアトレードの条件
- 責任者や現場農民との懇談
先進国における監査項目
- 購買(引渡し明細書、請求書)
- 販売(ラベル製品の明細書、商品包装の印刷文句)
- マックス・ハベラー・チョコレートの在庫状況
- ラベル採用とスイス市場における販売の際の商品包装に書かれた情報の適正性
2.6 パートナー
マックス・ハベラー・ラベルは、発展途上国の恵まれない地域の生産者と先進国の購買者の間でカカオの直接的商業関係を確立させることを推進している。マックス・ハベラー財団スイスのパートナーを紹介したい。
発展途上国におけるパートナー
- 生産者の協同組合や連合、しばしば連盟として再編されたりする。これらの組織は、自立独立した組織構造になっている。
- 共同組織は、自らの要求によりフェアトレードの認定プロセスを通じてフェアトレードのパートナーとなれる。この際、FLOインターナショナルの質問事項に答え、FLOのカカオの生産者登録を行う必要がある。
- 生産とその商品化された生産物は、マックス・ハベラー及びFLOの基準をみたしていなければならない。これらの基準の中でも「パートナーは中間業者を排除して製品を商品化し輸出できること。」という条項が極めて重要であり、協同組合の代表を世界のカカオ市場において競争力があり、経験豊かな幹部と前提している。フェアトレードに従事しつつこの中間業者を排除し、製品を商品化して輸出できる能力を持ち合わせることは、協同組合が、地方の中間業者を通さずに従来の市場においてもよりよい条件で製品を流通させる市場へのアクセスをみつけることにつながるからだ。フェアトレード市場は彼らの製品すべてを吸収するほど巨大ではないので、マックス・ハベラーとしては、新たな依存を立つ意味でこうした能力開発を推奨している。
- 協同組合として組織されたこのようなタイプのパートナーとしては、カカオのみならず、ハチミツ、砂糖、米、コーヒー、バナナ、マンゴー、パイナップルの生産にも及んでいる
- 他の製品−例えば、紅茶、オレンジジュース、花などでは、プランテーションや花の栽培農園など上記とは違った形態の組織となっている。労働条件の改善やフェアトレード報奨金の使途に労働者の意見が反映されるようにこのタイプの生産者を認定する際には特別な条項が必要になってくる。
ドミニカ共和国のコナカドの場合
カカオの生産者組織であるコナカドは1988年に設立され、1989年に正式に承認された。9つの共同組合をベースにしたこの団体は、20〜80のそれぞれの生産者家族を含む126の村組織を再編したものである。コナカドは、地方の小規模生産者がカカオを独自に輸出できる体制を構築することを第1目的として結成された。最も恵まれない生産者の所得を向上させ、また、中間業者を排除して直接に商品化できる体制を整え、製品の質と量を改善する目的で多くの生産者グループが、この組合に参加することとなった。
コナカドの理事会は、6人のメンバーにより構成されており毎月、最終の金曜日に会合が開かれる。下部組織である9つの協同組合の代表と書記官も同様にこの会合に参加する。生産者の集会や委員会により構成されている集会は、意思決定に2番目の権限を持ち、コナカドが最適に機能することを可能とする。組織的機能と有機栽培を強化する研究会や研修も行われる。年間総生産高1900トンのうちフェアトレード経由のカカオ豆年間輸出額は、235トンであり、そのうちの8割が有機栽培ものである。カカオの生産による所得は、コナカドに加盟する農民所得の約9割を占めている。彼らは、またバナナ、柑橘類、果物、サツマイモ、その他の野菜を自分たちの家族のためや地域市場向けに栽培している。
フェアトレードのインパクトは、数多く、また、多岐にわたっている。
- 発酵及び乾燥施設が改善された。
- 教育制度が整備された。これは、フェアトレード報奨金により賄われている。
- 女性の集会が創設された。この女性による集会は、ワイン、パン、リッカー、チョコレート、自然発酵品などの製品の生産及び販売を取り仕切っている。組合の従業員たちは、ビジネスにおいて高い資格を得ることができた。
- 有機栽培が推進され、化学的処理を行わない高級カカオの実の栽培が目覚しく改善された。
- 生産者が昼間に働く間に子どもを預かる託児所が創設された。
- 1998年にハリケーンにより破壊された果樹園の復興作業にフェアトレードの報奨金が当てられた。
来年のコナカドの主な目標とは、すべてのカカオを認定有機栽培にすることである。
先進国のパートナー
ライセンス取得者、つまり、チョコレートの輸入業者、流通業者、製造業者である。スイスにおいては,Pronatec SA, Chocolat Frey SA, Chocolat Bernarain SA, Chocolat
Maestrani SA, Hevetas, Coop, Migros である。
これらすべてのパートナーは、最終製品においてキロあたり0.6スイスフランでライセンスを獲得できる。ライセンス契約は、カカオのフェアトレード基準について細かく定められており、特にフェアトレードの生産者に対して支払う最低基準価格が義務付けられている。ライセンス取得者はマックス・ハベラーのカカオを原料とした多岐にわたる製品を販売する。販売方法は、直接販売する(例えばMigros, Coop, Helvetas, Claro)こともあれば、有機栽培食品専門店、健康食品店、ワールドショップ、Fairness Ladenなどの流通経路を通じて、またWWFの販売拠点を通じて販売されている。
2.7 原産地
2002年4月以来、マックス・ハベラーの認定を受けた2つのスイス大手流通業者であるCoopとMigros
は有機栽培されたチョコレートのみ商品化することに決定した。有機栽培カカオは、次の国の組織から輸入している。
- コナカド ドミニカ共和国
- El Ceibo ボリビア
ヨーロッパ市場では、従来のカカオの原産地であるBelize, Cameroun, Ghana,
Costa Ria Equteurからもフェアトレード市場へ輸入している。
2.8 種類と品質
認定カカオとチョコレートの市場が、スイスにおいては1%に留まっているが、供給先は、非常に多様化している。
- 25種類以上の板チョコ:ブラックチョコ、ミルクチョコ、ミルクヘーゼルナッツチョコ、ミルクアーモンドチョコ、プラリーヌ入りのチョコ、ホワイトチョコ、ミルクハチミツチョコ、ブラックアーモンドチョコ、コーヒー入りチョコ、コーヒーとくるみチョコ、干しブドウとヘーゼルナッツ、ホワイトパリパリシリアルチョコ等
- プラリーヌ、マンゴーとココナツ、シリアル入りチョコ(Claro社において)
- チョコレートスプレッド
- カカオ粉、有機減脂肪カカオ粉
- 有機栽培チョコレート粉
3. カカオ市場
3.1 国際的進展
世界のカカオの年間生産高は、約270万トンである。これは、世界で3番目に大きい市場である。
カカオ業界は、1極に非常に集約されている傾向を持つ。先進国の5つの企業が国際貿易の80%を牛耳っており、これらの多国籍企業が、カカオの加工の70%を行っている。これらの多国籍企業とは、ネッスルでありフィリップ・モリス(所有者はKraft-Jacobs-Suchard-Coted’Or)でありCallebaut,Cargill,Ferreroとなっている。これらの多国籍企業は、お互いに凌ぎを削っており、常に新しい市場を開拓し、広告キャンペーンを強力に展開して新製品を開発している。
市場はカカオの国際協定ICCAに基づいて運営されている。生産者及び消費者の利益を考慮してICCAは、カカオの国際価格を安定させるために値幅の上下限を設定している。しかし、東南アジアからの供給過剰、アフリカの干ばつ、投機行為が1994年に価格安定の仕組みを崩壊させた。カカオは、市場の法則に牛耳られることとなった。
2000年3月にはヨーロッパ連合は、チョコレート製造に際してカカオバターの代わりに植物油を最終製品に対して最高5%までなら使用してもよいという認可を下した。このチョコレート製造に際しての植物油使用認可をすることによってヨーロッパ連合は、多国籍企業の利益を優先させ、収入の大部分をカカオに依存していた農民の生活を崩壊に追い込んだ。特に西アフリカの生産者は大打撃を受けた。
カカオの国際相場は、ロンドンやニューヨークの1次産品市場で主に決定され、この価格は需要と供給によって決められる。カカオの供給が需要を上回る際には価格は下落し、反対にカカオの供給が需要を下回るときには、価格は上がる。短期的に生産者は、カカオの生産を需要に合わせて調整することができない。なぜならばカカオの木が初めて実をつけるまでに6〜8年の歳月が必要であり、生産者にとっては、こうした需要と供給のゲームにすばやく対応することは不可能であるからだ。
一般的に国際市場のカカオの価格は1980年代以降低迷している。
2001年4月にはカカオの国際価格はトン当たり1084ドルつけ、ここ25年以来の最低の価格をつけた。この価格では、生産者の生産コストをカバーしきれない。
しかしながら2002年のカカオの相場は、突然、反転し、上げに転じた。世界第1位のカカオの原産国であるコートジボワールやインドネシアについで第3位のガーナが生産調整に入ったからである。総生産高は6%低下したと見積もられている。コートジボワールの政治的社会的勃発事変もまた影響して相場は、2431ドルに急上昇した。相場は、20年来の最高値を記録した。2003年の終わりには、相場は1700〜1800ドルの間で推移している。この相場価格帯になってようやく多くの農民が20年来放置してきた農地を耕す気になった。
3.2 スイス市場
スイスに輸入されるカカオは、大部分がチョコレートの製造に用いられる。その他のカカオを用いた製品としては、カカオパウダー、カカオスプレッド、カカオバターなどであるが、比較的小規模である。
スイスでの年間チョコレートの消費量は6万8千トンであり、人口当たりの消費量は12Kgであり、ヨーロッパ市場では第7位であり一人当たりの消費量は、世界第1位である。スイスで販売されているチョコレートの23%は、輸入物である。
毎年コンスタントにスイスチョコレート製造業者は、製品の42%を輸出している。このスイスの輸出額をスイスチョコレート製造業者の子会社、関連会社、海外のライセンス生産業者によるスイスのマークを付けたチョコレートの総量と混同してはいけない。
スイスチョコレートの主な輸出先は、ドイツ、イギリス、オーストリア、アメリカである。
スイス国内では、チョコレートバーのシェアが伸びてきているが、やはり主役は板チョコであり市場の50%を占めている。CoopとMigrosでは、板チョコが売上の3分の2を占めている。
3.3 チョコレート:カカオのプランテーションから板チョコになるまで
マックス・ハベラー印のチョコレートは、最高品質のフェアトレード・カカオ、砂糖、そして他のスイス原産の材料や先進国の製品(牛乳、アーモンド、など)などを材料として製造されている。
カカオの木、果実、収穫
カカオの木(正式名THEOBROMA CACAO)の栽培は、大変難しい。植え付け耕地は、北緯15度から南緯15度までの焼く3000Kmに限られ、熱帯地方でしか栽培できない。カカオの木は、地域によって異なるが、多種の木々の木陰で栽培される。カカオの木には、90%以上という高湿度が必要である。現在の栽培方法では、3年目から実を収穫できるが、通常は5年から7年目で実をつける。カカオの木1本から25〜100の実をつけ、年に2回収穫される。
カボスと呼ばれるカカオの実のかたまりは、種類によって10〜25センチの長さで直径6〜12センチである。カボスは、300〜500グラムで長さは20〜25ミリで、実の中に25〜75個のカカオの実が含まれている。
収穫の時期は、地方によって異なる。アフリカとブラジルでは、主な収穫時期は10月から2月であり、5月から9月にかけてもう1度収穫期がある。アンティーユとベネズエラでは1月から4月までの期間しか収穫できない。
栽培と生産過程
開拓、収穫
- カボスの実が熟してきたらカカオの木から収穫する。樹皮をはがし、カカオの実から甘い味のする果肉を抽出する。
- 3〜5日間発酵させる。この発酵を通じてカカオの特徴である独特の香りが醸し出され、カカオの実にまだ付着している果肉が剥がれる。
- 次に乾燥させ、通常は、日干しにされるが、たまに100〜120度で人工的に乾燥させることもある。乾燥させることでカカオの実の外観は、独特のこげ茶色となる。
カカオの実からチョコレートになるまで
カカオの実からチョコレートを作るまでには、さまざまな繊細な過程を必要とする。
- 品質管理:香りの無いもの、虫食いなどで形のおかしなもの、基準となる水分含有率の低いものなどを選別。石、ほこり、虫等を取り除く
- 焙煎:カカオの実は、回転式の金属でできた焙煎機の中で熱い空気によって焙煎される。この過程で5〜15%の重量が失われる。焙煎することによって香りが増し、ほろ苦さが加わる。
- 粉末にする:カカオの実を砕き実と殻を分離させる。
- 殺菌:カカオの実にまだ食用に適さない菌が残っているので機械を使って殺菌する。
- 紛裂:カカオの実は、粉々されpure pate de cacao またはliqueur de cacaoと呼ばれる状態にする。この状態で約50%のカカオバターが含まれている。
- 抽出:圧縮機にかけてカカオバターと絞りカスを抽出する。カカオバターは、主に板チョコに使用される。絞りカスからは、カカオパウダーやチョコレートキャンディーが作られる。
チョコレートの製造
カカオを粉砕したもの、カカオバター、砂糖などを原料として混ぜ合わされチョコレートを作る。
- 粉砕:粉々に砕く。品質によって15〜30ミクロンに砕く。
- かき回す:全体を冷たい水や熱い水を交互に二つの仕切り壁を使ってかき回し、チョコレート中の水分や嫌なにおいを取り除く。この過程でチョコレートの味を調整し、品質を均一化する。この過程を経て初めてチョコレートは、滑らかになり洗練されたものになる。
- 温度加工と型枠取り:チョコレートを型枠取りできる温度にする。
これらの過程を経てチョコレートは、梱包されケーキ屋さんやチョコレート専門店、などのさまざまな業者に供給される。
4. 公平なる甘いチョコレート、発展途上国のインパクト
カカオのフェアトレード推進による直接的なインパクトのいくつかの事例
フェアトレードの国際基準に基づいてカカオを商品化したカカオ生産現場における事例
- 発酵及び乾燥施設が改善された。
- 協同組合の生産設備及び水、電気、下水道、ゴミ処理などのインフラ設備が完備された。
- 教育制度が整備された。これは、フェアトレード報奨金により賄われている。
- 女性の集会が創設された。この女性による集会は、地方の商売、石鹸の製造、手工芸品などの活動を行っている。
- 有機栽培が推進された。
- 生産者が昼間に働く間に子どもを預かる託児所が創設された。
- 生産者組合の機能が強化され、職業訓練が開始された。
- いくつかのカカオ生産国でカカオ生産者組合に資金を投じて商業目的のみの金融業に対する金融依存度を下げた。
これらは、FLOのパートナーであるカカオ生産者組合に対してフェアトレードがもたらした恩恵の数例である。他の製品を生産するFLOのパートナーにも多くの恩恵をもたらしている。(学校、各種職業訓練、雇用、労働、社会条件改善、娯楽施設、スポーツ、文化、環境、医療、食糧援助等)
発展途上国の恵まれない地域でのフェアトレードがもとらした明らかなインパクトは数え切れない。最もすばらしいインパクトとは、目に見えるものではなく、また、数値できるものでもない。すべての農民や協同組合の責任者たちにとってフェアトレードとは、生き延びること、そして持続的発展を可能にすることと同異義語である。主なインパクトとは、グローバリゼーションの負の影響を抑え、先進国と発展途上国の広がる格差を是正するために人間の顔をもった貿易システムを発展途上国の生産者に提供できることではないであろうか。
5. 情報源と役に立つインターネットサイト
DD/12.12.03
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