■世界のコーヒーについて(20033HP掲載)

1. はじめに
1.1 コーヒーの国際市場


石油に次ぐ第2の世界市場であるコーヒー市場は、生産の3分の2を占めるアラビカ豆と3分の1を占めるロブスタ豆の主に2種類の豆で構成されている。コーヒー豆の栽培の大部分は、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアで行われているが、消費者の85%は、産業国に在する。コーヒーの世界総生産高は、年間550万トンである。

協同組合を組織する生産者の大部分は、天候不順、生産量の変化、投機対象などによる価格変動の最初の犠牲者である。収穫が多いときには、生産者は彼らの生産物を安値で売ることを余儀なくさる。収穫が少ないときは、価格は上がるが、少ない売上高では生産者の所得を向上させるには至らない。生産者は、資金繰りが苦しいため、貪欲な中間業者と市場にて値決めをする時間も無く、結局はコーヒー豆を安値で売り払ってしまう。そして生産者の債務は増加する。


1.2 マックス・ハベラーの役割

社会的経済的な条件を満たすフェアトレードの国際基準に合致する農民組合に対してマックス・ハベラーのラベルが与えられる。生産者とプランテーションで働く労働者に安心できる商業的条件を提示することが、まず重要であり、少なくとも生産コストを上回る価格での取引を行い、これにより生産活動によって確かな生活が保証され、労働条件の改善、職業訓練、社会活動や環境保全運動といった持続的発展に資する行動を起こすことが可能となる。公平なる取引でなされたコストは、スイスでの最終小売価格に反映される。この一連の商品の流れで最終段階に位置する消費者こそがフェアトレードを支えることになる。


1.3 マックス・ハベラーについて

マックス・ハベラー財団(スイス)は、発展途上国で生産され、社会や環境の規範を遵守して栽培され、公正なる方法で商品化された製品についてラベルを供与する。

スイスでは、小売業者といくつかの焙煎業者が、マックス・ハベラーのラベルが付いた製品を販売している。

財団は、1992年に創設され、Pain pour le Prochain, EPER, Action de Careme, Caritas, Helvetas , Swissaid 6つの大きな慈善団体の協力により立ち上げられた。

財団代表の監督の元に財団本部では、さまざまなサービスが、企画運営されている。
  • 製品の管理
  • 広報活動とマーケティング
  • 製品開発
これに運営と財政が加わる。

財団の委員会は、創設者である非政府組織の代表者により構成されている。委員会は、大まかな活動の方向性を示唆し、事業の概略と財団の戦略を承認する。財団本部はバーゼルに在り、フランス語圏の事務所はローザンヌ地方にある。



1.4 マックス・ハベラー・ラベル登場

1989年にコーヒーの国際協定は破棄されたのを受け、オランダの非政府組織は、オランダ市場においてマックス・ハベラー・ラベルを立ち上げた。オランダに続いてベルギー、ルクセンブルグ、スイスなどが活動をはじめ、他の団体は、別の名前で活動している。(トランスフェアー、フェアトレード財団など)

1992年の2月、マックス・ハベラー財団スイスは、Pain pour le Prochain, EPER, Action de Careme, Caritas, Helvetas , Swissaidにより設立された。スイスのコーヒー市場もすぐにこのフェアトレードのアイデアを受け入れ、また、消費者の明らかな需要を予感してマックス・ハベラー・ラベルのコーヒーが、財団設立後すぐに登場した。この試みは成功し、フェアトレード・コーヒーは、1300トン以上販売され、コーヒーの小売市場の5%近く、スイスにおける市場占有率3%を記録した。

10年後、このフェアトレード市場は、先進国や発展途上国においても内容が充実し、また発展した。多くの生産者が統合され、多くの製品が市場参入し、フェアトレードの仕組みが構築された。
  • 1997年には17の各国推進団体が、フェアトレード・ラベリング組織インターナショナル(FLO)を先進国において結成した。この国際的ネットワークは、フェアトレードの国際的基準を統一させ(ラベル・システム)、組織的管理を行い、FLOの役割としてフェアトレードの最終権限を確立する目的で結成され、本拠地はドイツのボンに置かれた。FLOの財政は、部分的に各国推進団体の分担金により賄われている。2003年には、マックス・ハベラー財団スイスの代表であるPaola Ghillani氏が、3年連続してFLOの代表に任命された。
  • 何百もの発展途上国の組織や協同組合が、FLOの認定コーヒー生産者に登録された。
  • 2002年には、「フェアトレード認定」製品のFLOが関与する17カ国において売上高は、25000万ドル以上に達した。そしてスイス市場においては、1億スイスフラン以上に達した。
  • 2002年にはスイス市場にマックス・ハベラー印の製品の品目が9つになった。コーヒー、ハチミツ、カカオ、チョコレート、砂糖、紅茶、フルーツジュース(オレンジ、グレープフルーツ)、花、米の9つである。


1.5 マックス・ハベラー認定コーヒー、困難にぶつかる

華々しくスタートを飾ったが、その後に定期的に増え続ける他製品の荒波の中で、マックス・ハベラー・ラベルのコーヒーの消費量は、停滞した。さらには、コーヒーの世界市場そのものも停滞、さらには低迷し、特にベトナムなどの大規模なアジアの生産者が、市場参入した影響から新たな生産過剰に直面した。市場価格は、近年で最低を記録し、2002年の終わりには、アラビカ豆でポンドあたり約60セントになり、生産コストを賄えなくなった。一方でフェアトレードの最低買い付価格は、引き続き1.24ドルに固定されている。


コーヒーの国際市場において無秩序な商業主義や投機行為が横行する限り、こうした傾向を押し留め、規制する必要性があることが明らかになってきた。(コーヒーの国際協定の復活)マックス・ハベラーにとっては、市場占有率拡大こそが常に最大の挑戦であり、消費者の積極的関与が求められている。フェアトレード以外の小規模農民救済の道としては、コカなどの非合法な作物の栽培であるが、こうした非合法な作物栽培は、利潤は高いがリスクも大きく、他の選択肢としては、コーヒー栽培を単にやめて大都会の貧民街に身を沈めるか、先進国に経済難民として移民し、これまた貧民街で過ごすしか方法は無い。


2. 
マックス・ハベラー・コーヒー:その構造

2.1 当事者

マックス・ハベラーに承認されたフェアトレードには4人の当事者がいる。

  • 発展途上国の協同組合、プランテーション、生産者組合
  • 先進国の輸入業者、焙煎業者、流通業者(www.maxhavelaar.ch 参照)
  • 発展途上国と先進国の間で商業パートナー確立を仲介するマックス・ハベラー財団
  • 消費者
 フェアトレード基準を遵守、特にフェアトレードの報奨金の使途や社会や環境に対して配慮する代償として生産者は、公正なる価格での取引を保証される。地方の中間搾取業者は、排除される。先進国のパートナーもまた、契約に基づいて、値段、購買形態、生産者への直接支払い、長期契約、取引の透明性といったフェアトレード基準の遵守が要求される。

フェアトレードの当事者の役割は、明確に規定されている。:一方には発展途上国の生産者がいて、他方には、先進国においてマックス・ハベラーのライセンス取得者である輸入業者と焙煎業者がいる。これらの両者の間に、すなわち生産者と消費者の間に橋を架ける役割を担うのがフェアトレードのマックス・ハベラー・ラベルであり、マックス・ハベラーは、ラベル認定された製品の貿易に直接関与するのではなく、フェアトレードの条件を提案し、発展途上国の生産者と先進国の当事者との間に商業的契約を締結させ、FLOと共に生産者の生産管理業務にあたる。


こうした一連の流れにおいてスイスでは、消費者の地位が不可欠である。:フェアトレードにより余分にかかる費用は、認定された製品の販売価格に転嫁され、従来の貿易を経た商品よりもほんの少し高くつく。消費者は発展途上国の生産者を全面的に支持することになる。


2.2 コーヒーのフェアトレード基準

公正なるシステム全体は、基準と管理という2つの主な柱に基づいている。FLOのフェアトレード国際基準とは、FLOの規範であり、継続的発展に資する3つの根源的概念に基づいている。
  1. 社会的に農業従事生産者や労働者の自立を促進し、彼らの生活条件改善に努める。
  2. 生態的に環境の保全を考慮に入れること。
  3. 経済的に現在進行中のシステムは、政府の補助金なして運営でき、生産者から消費者まで市場参加者全員に利潤をもたらすものでなければならない。
発展途上国におけるコーヒー基準

生産者組合が、FLOのコーヒー生産者認定を受けるためには次のような条件が必要である。
  • 農業パートナーを形成する生産者組合と組織は、自主独立した形式で、その運営は民主的になされなければならない。(例えば代表者の選出など)その組織運営については透明性が要求される。
  • 協同組合のメンバーは、小規模農民であり、すなわち家族的自営農業者である。
  • 「フェアトレード」の報奨金は、購入代金に含まれており、この報奨金は、労働基準改善に資する活動に投資されなければならない。この報奨金の使途については、会合において民主的な方法で決定されなければならず、小規模農民は、常に発言権を有する。
  • 商業的関係は、安定的継続的方法で確立されなければならない。
  • 協同組合は、中間業者を介することなく直接輸出しなければならない。
  • 協同組合は、高品質の製品をフェアトレード市場に定期的に供給し、環境保全を考慮した生産に従事しなければならない。
  • 協同組合は、単一作物栽培を避け、作物の多様化を推進し、特に食の自給率向上を目指して食糧農産物を多様化すること。
  • 協同組合は、これらの条件を満たすものを新たなメンバーとして迎え入れなければならない。
先進国のコーヒー基準

マックス・ハベラーのライセンスの恩恵に与る焙煎業者、流通業者、輸入業者にとっての必要な条件は次のようである。
  • コーヒーは、フェアトレード基準により認定された協同組合からの製品としなければならない。
  • 安定的で継続的な商業関係を構築しなければならない。
  • 中間業者を排除し、マックス・ハベラーのパートナーのもとで直接購入しなければならない。
  • フェアトレードの報奨金を含むフェアトレード価格で生産者に直接支払わなければならない。
  • いくつかの条件の下で部分的前払いに合意することもある。
  • 「有機栽培製品」には、有機栽培認定コーヒーとして報奨金を支払わなければならない。
  • マックス・ハベラー・ラベル製品の購入、販売、在庫状況について情報開示しなければならない。
2.3 フェアトレード価格

フェアトレードの最低価格は、アラビカ豆でFree on board価格ポンドあたり1.24ドル(中央アメリカ産は1.26ドル)ロブスタ豆で1.10ドル、有機栽培アラビカ豆は1.39ドル、有機栽培ロブスタ豆は1.25ドルとなっている。


この価格設定は、FLOに認定されているコーヒー生産者代表者たちと2年に1回行われる会合において見直される。国際価格がマックス・ハベラーの最低価格より上昇した場合には、フェアトレードの買い付価格は、従来のコーヒーにおいては、ポンドあたり5セント高く、有機栽培のものについては、ポンドあたり15セント高く買い付けることとなっている。


2.4 販売価格


マックス・ハベラー財団は、販売価格には干渉しない。生産者へ支払うフェアトレード価格分の費用やライセンス取得にかかる費用は、最終価格に反映され、販売者の利益も考慮して販売者であるライセンス取得者が、最終的に販売価格を決定する。ここでもう一度強調すべきは、消費者の役割である。一般的にスイスでのフェアトレード・コーヒーの価格は、キロ当たり1422スイスフランとなっている。

有機栽培のものについては、販売場所によっては23%〜36%もの上昇を記録している。



2.5 監査

先進国においても発展途上国においても年に1回立ち入り監査が行われる。監査に訪れることによって、パートナーとの直接的な関係を構築し、発展させ、情報をお互いに開示し、発展途上国と先進国の持続的な商業関係を構築することとなる。

発展途上国における監査項目
  • 商品の流通と資金の流れ
  • 財政状況、会計
  • 生産状態、特に環境への配慮について
  • フェアトレード報奨金の使途、協同組合メンバーの関与
  • 一般的フェアトレードの条件
  • 責任者や現場農民との懇談
先進国における監査項目
  • 購買(引渡し明細書、請求書)
  • 販売(ラベル製品の明細書、商品包装の印刷文句)
  • マックス・ハベラー・コーヒーの在庫状況
  • ラベル採用とスイス市場における販売の際の商品包装に書かれた情報の適正性
2.6 パートナー 

マックス・ハベラー・ラベルは、発展途上国の恵まれない地域の生産者と先進国の購買者の間でコーヒーの直接的商業関係を確立させることを推進している。マックス・ハベラー財団スイスのパートナーを紹介したい。

発展途上国におけるパートナー
  • 生産者の協同組合や連合、しばしば連盟として再編されたりする。これらの組織は、自立独立した組織構造になっている。
  • 共同組合は、自らの要求によりフェアトレードの認定プロセスを通じてフェアトレードのパートナーとなれる。この際、FLOインターナショナルの質問事項に答え、FLOのコーヒー生産者登録を行う必要がある。
  • 生産とその商品化された生産物は、マックス・ハベラー及びFLOの基準を満たしていなければならない。これらの基準の中でも「パートナーは中間業者を排除して製品を商品化し輸出できること。」という条項が極めて重要であり、協同組合の代表を世界のコーヒー市場において競争力があり経験豊かな幹部と前提している。フェアトレードに従事しつつこの中間業者を排除し、製品を商品化して輸出できる能力を持ちあわせることは、協同組合が、地方の中間業者を通さずに従来の市場においてもよりよい条件で製品を流通させる市場へのアクセスを見つけることにつながるからだ。フェアトレード市場は、彼らの製品すべてを吸収するほど巨大ではないのでマックス・ハベラーとしては、新たな依存を絶つ意味でこうした能力開発を奨励している。
  • 協同組合として組織されたこのようなタイプのパートナーとしては、コーヒーのみならず、ハチミツ、砂糖、米、カカオ、バナナ、マンゴー、パイナップルの生産にも及んでいる。
  • 他の製品−例えば、紅茶、オレンジジュース、花などでは、プランテーションや花の栽培農園など上記とは違った形態の組織となっている。労働条件の改善やフェアトレード報奨金の使途に労働者の意見が反映されるようにこのタイプの生産者を認定する際には特別な条項が必要となってくる。
ペルー、ジュニン地区、ラ・フロリダの場合

ラ・フロリダの協同組合は1993年以来FLOのパートナーとなっており、この大きな協同組合の本拠地は、ジュニン地区のMercedに置かれ、36の市町村の住人である1730人のメンバーを擁している。農民メンバーの大部分は、標高8001600メートルの地区で24ヘクタールの土地で耕作を行っている。生産物の大部分は、有機栽培「チャンチャマヨ」種からの豆である。Immo Control Naturlandは、有機栽培認定栽培者である。1990年代後半、ラ・フロリダのメンバーたちには、収穫脱穀施設の破壊、プランテーションの放火、農民誘拐などの“明るい道”と呼ばれる勢力による恐怖の下で暮らしていたが、これらの惨事から逃れるために「大農場」からの脱退を余儀なくされた。収穫量は490トンから300トンに激減した。ラ・フロリダは、FLOの基準に沿って高品質の有機栽培豆を年間328トン栽培したことを受けて、この共同組合の状況は、幸運なことには正常化した。強力に組織され管理されているこの協同組合は、ジュネーブにある「人間と土地」の養成プログラムの恩恵を受けている。ラ・フロリダの強力な手段の一つとして発展した伝達手段(ファックス、インターネット、ウェッブサイト)が挙げられる。いったん“明るい道”の抑圧から解放されたラ・フロリダは、見違えるほど強化された。

フェアトレードの報奨金はさまざまなプロジェクトに使われている。
  • 農業学校設立;現在37人の生徒が在籍
  • 生産者の食糧自給率向上のために肉の生産基地設置
  • 栽培作物の多様化を推進する一環として、20ヘクタールの共同耕作地にトウモロコシ、大豆、ユッカを栽培するプログラムを始める。
  • すべての生産者を対象に収穫脱穀施設にインターネット・カフェを設立
先進国のパートナー
  • マックス・ハベラーのライセンスを持ち、フェアトレード市場から直接コーヒー豆を買い付けるか、マックス・ハベラーのライセンスを持つ輸入業者からコーヒー豆を買い付ける約40の焙煎業者
  • フェアトレード市場から直接買い付け、スイスの焙煎業者に販売するマックス・ハベラーのライセンスを持つ輸入業者。現在2社:BlaserAGTraeublerAG
  • 輸入業者、焙煎業者でもある流通業者(生協とMigrosなど)。また、マックス・ハベラーのライセンスを持つ焙煎業者と協力してマックス・ハベラー・コーヒーを商品化した流通業者(Jelmoli, Carrefour, Manor, Volg など)
  • フェアトレードの先駆者としてClaro SAを特別に言及したい。Claro SAは、マックス・ハベラーのパートナーである焙煎業者に焙煎させコーヒーを直接輸入しフェアトレード・ショップ(Claro, Magasin du Monde,botteghe del mondo)やダイエットや有機販売などの専門店ネットワークにおいて流通させている。
すべての当事者は、焙煎されたコーヒーに対してキロ当たり0.4スイスフランをマックス・ハベラーのライセンス使用量として支払わなければならない。このライセンス使用量は、財団の運営、並びに、管理業務に当てられる。


2.7 原産地

スイスで販売されているマックス・ハベラー認定のコーヒーは、中央アメリカ、南アメリカ、カリブ諸国、アフリカが原産地であり、国としては、ボリビア、コロンビア、コンゴ共和国、コスタリカ、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、ペルー、タンザニア、ベネズエラとなっている。



2.8 種類 

スイス市場にあるマックス・ハベラー認定の高品質コーヒー
  • アラビカとロブスタ
  • 従来の有機栽培種
  • 粉引き
  • 60種類以上をブレンドしたもの:エスプレッソ、コーヒー、特別ブレンド
  • 小分けのコーヒー
  • インスタントコーヒー
  • カフェイン抜き、あり
マックス・ハベラー有機栽培コーヒー

マックス・ハベラー財団では有機栽培を推進しており、この動きは、社会、環境、持続的発展といったフェアトレード基準に呼応するだけでなく、消費者のこうした需要に応えるものである。

有機栽培への転向には、約3年かかる。有機栽培は、単に基準値を超える化学物質の使用をやめるだけでなく、有機栽培には、農民による積極的な農地改良が必要である。例えば、コーヒー豆の繊維から堆肥を作ったり、「Bauveria」と呼ばれるキノコなどを使い農地を肥やし、また、土壌の窒素を増やしたり日光から土壌を守ったり土壌の水分を保つ野菜類を植えるなどして自然の「森」のような循環を造ることである。

マックス・ハベラーのコーヒー農園とその有機栽培農園は、毎年、Bourgeon Biosuisse,Naturland(D),ecocertなどの国内または国際有機栽培認定機関により認定を受けている。

認定書発行は、有料であり生産者負担である。

有機栽培のため生産者に対して余分に掛かる費用は、有機栽培推進報奨金としてフェアトレードの先進国のパートナーにより賄われる。

フェアトレードの安定性は、有機栽培に転向することにより可能となる。


3.コーヒー市場

3.1国際的進化

1962年にラテンアメリカ、アフリカなどの国策として取り組んでいるコーヒー生産国が価格低下や供給過剰を防ぐ目的で国際コーヒー協定が締結された。この協定は、25年間以上にわたり市場の最低価格、在庫調整、品質管理を司ってきた。

19897月に原産国生産割当て無視に続いて、生産者と消費者間のコンセンサスの欠如もあり、協定は破棄された。こうしてコーヒーの国際市場は、完全に需要と供給の法則が支配することとなった。相場は崩壊した。19895月までは、平均してポンドあたり1ドル15セントであった価格が、198910月には61セントと暴落した。この底なしの危機により数多くのコーヒー豆栽培農民が、貧困に陥った。2003年、コーヒーの国際市場は、依然として回復の兆しを見せておらず、生産者は、生産コストをカバーできない状態が続いており、農民貧困問題の混迷は、さらに深まっている。



3.2 スイス市場


スイスは、コーヒー豆全世界生産量660万トンのうち約1%である63000トンのコーヒー豆をスイス市場に輸入している。8000トンは、インスタント・コーヒー、カフェイン抜きコーヒー、焙煎コーヒーとして再輸出されている。スイスでは、残りの約55000トンのコーヒー豆を消費していることになり、年間ひとり当たり約8kgを消費している計算である。このコーヒー市場は、スイス市場においてさまざまな種類の製品、派生品、ブレンド製品を含んでいる。


2002年には、1246トンのマックスハベラー・ラベルのコーヒーが販売され、スイス市場の3%を占めるに過ぎない。(小売市場では5%)



3.3 コーヒーの苗の段階からコーヒーカップに至るまで

コーヒーの木は、高温多湿の気候(平均気温1822度)の国で栽培される熱帯性の植物である。コーヒーは、標高6001500メートル(高原コーヒー)の熱帯地方に点在する70カ国で栽培されている。コーヒーの木は、常緑樹であり、その葉は、細長く濃い緑色である。場所によっては、年間通じて花をつける。花の段階からコーヒーの実をつけるまでのすべての成長過程は、同じ木の枝で行われる。


栽培と生産のさまざまな過程

・苗の生産
 

高品質のコーヒー豆を選び、果肉をそぎ落として地中に植える。約10週間後、コーヒー豆が芽を出し、苗の高さが510cmに達したところで、プラスチックでできた苗床に移す。


・植え付け、花、コーヒー豆

45ヵ月後、苗の高さが3040cmに達したところで、収穫を待つ耕作地に移し換える。コーヒーの木は3年目で花をつける。第1回目の収穫時期は、一般的に4年目である。5年目、6年目、7年目までがコーヒー豆の収穫に適した時期である。農民にとっては、最初の数年間は、貴重な投資期間となるわけだ。

・摘み取り

摘み取りは手作業である。500gのコーヒーの粉のためには2.5kgのコーヒー豆を収穫しなければならない。豆の選別が必要であり、傷ついた豆や十分に熟成していない豆は、取り除かれる。

・洗浄、繊維取り外し、発酵、乾燥

フェアトレード市場で扱われるコーヒーは、「湿温処理」方式を経ている。その過程は次のようである。
  • 実の洗浄
  • 水で実を膨らませる
  • 繊維分を取り除く(実から2粒のコーヒー豆)
  • 数日間発酵させる
  • 豆の洗浄
  • 乾燥(少なくとも4日間かき混ぜながら太陽の下で乾燥させる。)
・脱穀、選別、袋詰め、計量、運搬

乾燥した豆は、小さな脱穀場にて脱穀され、手作業によって選別され、袋詰めされ、ヨーロッパの港に向けて船荷される前に計量される。(“緑コーヒー”と呼ばれ6070kg)

・焙煎

コーヒーは、貴重な天然素材の製品であるが、ある処理が必要となってくる。緑コーヒーは、一般的に消費者の国でブレンドされ焙煎される。高品質のコーヒーを作るためには、特に高品質の豆とさまざまな産地からの豆をブレンドさせることが必要である。一般的には、200250度で1215分間焙煎する。

・パッケージと商品棚

コーヒーは、酸素に触れると急速に味と香りが失せてしまう。真空パックは最も理想的な保存方法である。商標登録と同様に製品化や商品化の条件について細かな規範が、フェアトレード・コーヒーのパッケージにマックス・ハベラー・ラベルと同様に記載されていなければならない。

・コーヒーカップの中に


4. フェアトレード・コーヒー10年が経過、発展途上国へのインパクト

マックス・ハベラー・ラベル発足以来10年が経過したが、その成績は、極めてよい。スイスでのラベルの認知度は、66%と高く、ラベル認定された製品の販売によるラベル収入は、継続的に上昇しており、市場、経済、市民社会は、この発展を熱心に応援している。国際的に見てフェアトレードの目覚しい進展が、明らかになり、各国推進団体との協力体制もまた整備されてきた。

発展途上国では、各自が当然の報酬を受け取ることができる貿易のシステムを構築することによって多くのプロジェクトが実現され、著しい改善がなされた。

フェアトレードの直接的なインパクトのいくつかの事例

  • コロンビアで牛乳や肉を供給するために(食糧自給率の確保)家畜を購入するための具体的な信用供与システム構築
  • メキシコのサン・フェルナンドから遠くに住む小学生のための「勉強小屋」の建設とそこでの教育活動。資金援助は、建物の建設だけでなく住宅建設が食糧援助にも役立っている。
  • 製品を直接輸出するためにメキシコとTuxlaにおいて(船に積み込む前に最終条件の統一)2つの「コーヒーショップ」を設立。
  • 将来的に製品を商品化するために借金しなくても済むようにいくつかの生産国の生産者組合に資本注入
  • 協同組合の組織構造強化(ラテンアメリカやコンゴ)
  • メキシコ、コロンビア、ペルーなどの国々で生産地周辺の住宅や道路建設
  • 社会保障制度の改善及び構築
  • FLOのパートナーのためにグアテマラのコーヒーの保管倉庫建設や乾燥及び選別設備(アメリカの非政府組織団体と協力して)の設置。
  • コロンビアでの伝統的文化(ダンス、音楽)を継承するグループの支援プログラム。
  • コンゴ共和国の戦闘地域での募金とコーヒーの運搬(国連保護の下での人道支援船)のための輸出基金の設置
これらの例はFLOのパートナーであるコーヒーの協同組合による企業の改善に関するものだけである。他の製品の生産者パートナーによる他のプロジェクトも実行に移されている。(社会整備基盤、学校、各種職業訓練、幼稚園、労働社会条件、スポーツ、文化、環境、医療、栄養学など)

発展途上国の恵まれない地域でのフェアトレードがもたらした明らかなインパクトは、数えきれない。最も素晴らしいインパクトとは、目に見えるものでなく、また、数値化できるものでもない。すべての農民や協同組合の責任者たちにとってフェアトレードとは、生き延びること、そして持続的発展を可能にすることと同義語である。主なインパクトとは、脱出することができないと思っていたトンネルに一筋の光を垣間見るように貿易システムに人間性を取り戻す可能性を生産者にもたらしたということであろう。



5.情報源と役に立つインターネットサイト
  • マックス・ハベラーの行動と資料             www.maxhavelaar.ch
  • フェアトレード・ラベリング組織                www.fairtrade.net
  • プロカフェ、スイスのコーヒー組合           www.procafe.ch
  • 国際コーヒー組織                               www.ico.org
他の役立つサイト
  • Claro SA                                             www.claro.ch
  • ワールドショップ                                    www.mdm.ch
  • 非政府組織団体の共同作業                   www.swisscoalition.ch
DD/CMP 3.3.03

▲海外のニュースページに戻る